受け入れ縮小には悪手の可能性が

医師の労働時間を軽減するために、土曜外来の大幅縮小や、救急患者の受け入れ制限、夜間診療の中止なども一つの選択肢ではあると思います。
ただし、中長期的病院経営を前提として考えた場合、果たしてこれは正しい選択なのでしょうか?
1.まず、間口を縮めることにより、患者の数が減るでしょう。
2.結果、医師の労働時間を減らすことには繋がるでしょう。
しかしこれは社会全体としての患者数が減ったわけでもありませんし、完治する患者の総数が増えるわけでもありません。
解決するのは「今目の前の病院内での」の問題のみです。
むしろ両方とも悪化することに目を瞑る愚策であり、よく考えると何も「本質的メリットがない」のではないでしょうか。
というのも、
1.受け入れる患者の数を減らせば、その分、病院の収入源である診療報酬の分母も減ることは必然です。
2.また、高い倫理観をもつ医師から、「たとえ残業代はもらえなくても、より多くの患者さんにを対処したい」という人が現れることを想像するのも難しくありません。これでは折角業務体制を見直しても、何のための見直しかわかりません。

ということは、この対策は医師の働き方改革を進めるための本質的、根本的な解決策ではないということを示しているように思えてこないでしょうか。
そもそも病院は、医療に関する地域や社会のインフラです。その病院が、労働時間という観点から受け入れる患者を減らしたとして、果たして社会の納得は得られるのでしょうか。
役割を放棄して自己保身に走っていると他の病院と比較されたとき、潜在的不満を持っている患者と、そうでない患者では、どちらのほうが訴訟リスクが高まるかは自明の理でしょう。
この点について考えてわかってくることは、やはり医療機関内部の「業務体制の再構築」でしか本質的な改革は実現できないと言うことではないでしょうか。
少なくとも私個人としては、もしすでにこのような縮小策を実施してしまっている機関の方がいらっしゃれば、代替案の提示とともに早期に軌道修正したほうがいいとお伝えしておきます。

こうした病院の事情を知っておくことで、医師求人を探す際に何かしら役に立つと思います。

医師として転職する方は、ぜひ参考にしてみてください。